上がり3ハロンは、
負けた馬でも重要?
「上がり最速」の本当の見方
「上がり最速の末脚!」「最後は33秒台!」。競馬を見ているとよく聞くけれど、勝てなかった馬の上がりにも意味があるのでしょうか。

あります。上がり3ハロンは、着順だけではわからない馬の走りを知る手がかりです。
ただし、時計が速いからといって、その馬が必ず強いわけではありません。数字が記録されたレースの流れと一緒に見ることが大切です。
そもそも、上がり3ハロンって何?
上がり3ハロンとは、ゴールまでの最後の600mを指す言葉。競馬では200mを「1ハロン」と呼びます。
レース結果に「推定上り 34.4」とあれば、その馬の終盤600mの所要時間を推定した数字が34.4秒ということです。
レースの「ハロンタイム」は、その地点の先頭馬を基準に計測されます。一方、成績表にある各馬の数字は「推定上り」。すべての馬の600mを個別に直接実測した時計とは区別されています。
まずは「最後の600m付近で、どれくらい速く走ったかを知る数字」と考えれば大丈夫です。
逃げた馬と追い込んだ馬。2023年の大阪杯
2023年4月2日、阪神競馬場で行われた大阪杯(GⅠ)。このレースでは、対照的な走りをした2頭が、ゴール前で大接戦を演じました。
先頭を走っていたのは、武豊騎手が乗る9番ジャックドール。一方、C.ルメール騎手が乗る11番スターズオンアースは中団より後ろから進みました。
4コーナーでジャックドールは1番手、スターズオンアースは9番手。そこからスターズオンアースが追い上げ、最後はわずかな差まで迫ります。
先頭の9番と、追い込む11番に注目。
2頭の差が、最後の直線でどう変わっていくのか。まずはレース映像を楽しんでみてください。
▶ JRA公式レース映像を見る ↗JRA公式YouTubeへ移動します。映像の転載や切り抜きは行っていません。
勝ったのはジャックドール。上がりが0.9秒速かったスターズオンアースは、ハナ差の2着でした。
この数字からは、スターズオンアースが最後に鋭い脚を使ったことがわかります。同時に、それをしのいだジャックドールの走りにも目を向けられるのです。
負けた馬の数字にも、意味がある
着順だけを見ると「ジャックドールが1着、スターズオンアースが2着」で終わってしまうかもしれません。
でも推定上がりを比べると、スターズオンアースが最後の600m付近で速い脚を使い、追い上げたことがわかります。
ただし「上がり最速=一番強い」ではありません。位置取りや前半のペース、進路の取り方によっても、ゴールでの着順は変わります。先頭でペースを作って逃げ切る馬には、それとは別の強さがあります。
上がり3ハロンは「強さの答え」ではなく、どんな競馬をしたかを読み解くための材料の一つ。
それなら、33秒台はすごいの?
「上がり33秒台」と聞くと、かなり速い印象がありますよね。ただ、同じ33秒台でも、その価値はレースによって異なります。
前半にゆっくり走って脚をためたレースと、スタートから速いペースで走り続けたレースでは、終盤に残っている余力が違います。コースや芝・ダート、馬場状態によっても時計の出方は変わります。
だから、33秒台なら強く、35秒台なら弱いと決めつけることはできません。数字が出た条件を一緒に見ることが大切です。
次にレース結果を見るときは
上がりの数字を見つけたら、次の3つを一緒に確認してみてください。
どの位置から走ってきた?
コーナーの通過順位を確認。
最後にどれくらい伸びた?
推定上がり3ハロンを確認。
結果はどうだった?
着順と勝ち馬との着差を確認。
例えば、後方から上がり最速で追い込んだのに届かなかった馬。次のレースでは、展開が変わることで別の結果になるかもしれません。
2023年大阪杯のように、逃げ切った馬にも、追い込んで敗れた馬にも、それぞれの見事な走りがある。 上がりを知ると、着順の向こう側まで見えてきます。
参考資料
掲載数値はJRA公式レース結果に基づきます。本文にある一般的な説明と個別レースの事実は区別しています。